デイヴィッド・ヒューム。
彼は、イギリスの経験論の流れをくむ哲学者。
彼は〝知覚〟に着目していた。
私たちは近くに基づく印象で自己を捉える。
例えば、痛いとか、熱いとか、そんな風に…
そこで、人間をそんな無数の知覚の集合体に過ぎないとして、次のように表現した。
「人間とは、思いもよらない速さで次々と継起し、たえず変化し、動き続ける様々な『知覚の束』ないし、集合体に過ぎない。」
つまり、私たちは自分という実体があると思い込んでいるけれども、なんとそんなものは存在しない…
彼にいわせるとそれは『心の中の劇場』に過ぎない。
次々と何かが現れる舞台があるだけ…
更に私たちは日頃、確固たる自己や素の自分がいて、それを様々な態度に装っているだけのように思いがちだよね。
でも、その装っている自分も、その時々の本当の自分なんだよ。
全て、有りの儘なんだ。
貴方を見ている私…
貴方を触る私…
そんな知覚の集合体…
己の正体について、
思考を巡らせる時には必ずと言って良い程、
彼に遭遇する。
「久しぶりだね…ヒューム」