特に深い意味もなく、

思いつく儘に音にした言葉が、

誰かにとって拭いきれない〝呪い〟になってしまうことがある。


良い意味でも…

悪い意味でもね…


君は、サーフィンが大好きで世界のビーチを回っていた。何時逢っても全身真っ黒の無邪気な表情が印象的だった。


でも…

最愛の人が何気なく発した、


「私、インドア派だから、

本当は病的に色白な人が好きなんだよね。」


という言葉で、あれ程大好きだったサーフィンをパタリと辞め、日焼けに気を遣ってインドア派になってしまった。

もう彼女は居ないのに、サーフィンはもうしないと悲しそうに言うのは何故なんだ。


貴女もそうよ。


「俺、ロングよりショート派。

髪長いの全然似合ってないよ。」


その言葉で、小学校から変わっていなかった美しい長い黒髪をバッサリと切ってしまった…

別れた後も、貴女は「私にはロングは似合わないから…」そう言って、髪を伸ばせなくなった。


良くも、悪くも…


意図せず発した何気ない言葉が、何年も解けない呪いみたいにその人を支配してしまうことがある。


良くも、悪くも…


その呪いを解く方法を私は知らない。

ただ、王子様のキスではないことは確かよ。


追伸


だから、私は言葉を簡単に音にはしない。

慎重に、紡がなければならない。


やはり、悪い呪いだ。


だって、呪いをかけていいのは…

私は貴方(貴女)のことを、何があっても絶対に離さないと約束できる時だけよ。


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