たとえば、何かちょっとしたアイディアを思いついたとしましょうか。
昂揚した良い気分…
誰かに話したくなり、半ば得意になって話したことに、相手が余程人物ができているか、こういう点についての経験豊かな人間なら別なんだけれども、大抵はあっさり、大したことではないという反応をします。言葉に出してはっきり言わないまでもそういった顔をします。
私の経験則に帰納すると、たっぷり寝させて、しっかり練り上げられ、既に発酵した着想、テーマであっても、こういう冷たい仕打ちを受ければ、酷い痛手を被る。
ましてや、ホヤホヤの思いつきではひとたまりもないわ。
若芽はあえなく潰されてしまい、二度と頭をもたげようともしない…
「IQ145…
頭が良いとは言ってもその程度なんだ。」
私はこの言葉を不意に投げつけられてから、滅多なことでは新しいアイデアを人に吹聴したりしなくなった。
こういった冷たい批評でせっかくのアイディアの芽を潰されてしまう危険の他に、むやみに口外してはいけない理由があります。
とっときの考えは、
やはり、とっておかなけばならないのよ。
話してしまうと、頭の内圧が下がるよね?
途端に溜飲を下げたような快感が得られる。
すると、それを更に考えようという意欲を失ってしまう。私の場合は同時に文章に纏めようという気力がなくなってしまう。
喋るというのが、既に立派な表現活動なのだから、満足してしまうのは当たり前よね。
「どうして、黙っているの?
もしかして、怒ってるの?
怒って黙るタイプとかいちばん面倒なタイプじゃん。」
君って、本当に頭が悪いのね。
私は今、俗世を離れた知的会話のための種をひとりであたためています。
寝させているのよ。
純化を待てない人間の喋り言葉は兎に角耳障り。
敢えて黙って、表現へ向かっての内圧を高める努力を少しぐらいできないの?
私が本気で喋るとこうなるんだけれどもいいのかな?
「百々果様が怒ったら、本当に怖いです。」
私だけの執事役…
あの時は「そうかな?」と疑問を抱いたんだけれども、その言葉は案外的を得ているかもしれない。
さて、そろそろ貴方が気になっているキーワード〝浮世を離れた知的会話〟についてお話ましょうか。
追伸
相手が余程人物ができているか、こういう点についての経験豊かな人間なら別。
貴方は私に安心して話していいんだよ。
一緒にあたためて、寝かせましょう。
𝑻𝒐 𝒃𝒆 𝒄𝒐𝒏𝒕𝒊𝒏𝒖𝒆𝒅…

