〝実力〟って何だろうか。
もし、それが努力と才能による結果を指すなら、そんなものは偶々努力する事が出来る環境に生まれたり、才能を与えられたりしただけなのだから、まったくの運に過ぎない。
…私は、そう思っている。
この事をきちんと理解していれば、
努力と才能に恵まれた者は、
もっと謙虚になれる筈なんだ…
私の国も次第に規模が大きくなってきた。
ここで重要なのが国家方針を、
国民である貴方にきちんと示す事だ。
ここ最近、私が考えているのは、
〝国家全体の目標である共通善〟を、
紡ぎ出す必要性が生じている事についてだ。
但し、それは従来の様な支配者(私)の幸福を最大化する者であってはならない。
むしろ、奴隷である貴方の方に目を向ける可き。
つまり、全ての奴隷が自分も国家の役に立っている、貢献できていると実感する事が出来る世の中を創らなければならない。
今、まさに奴隷のための、
いわば〝貢献的正義〟への転換が求められている。
そう…〝主役は貴方〟
追伸
一昔前の話、だが…
「百々果女王様は一体何をお考えになっているのか、分かりかねますわ…」
他国の女王に随分と皮肉めいた事を、
公の場で言われてしまった事があった。
SMショーか何かの席だったと、記憶している。
連れている従者に恥をかかせてしまった…
申し訳ない気持ちになって、
若かった私は、無言で俯いてしまったね。
…情けないところを見せたものだ。
でも、お前は直ぐこう言ってくれたんだ。
「我が国の行末を…百々果様はお考えなのです。」
その儘、社交場から連れ出してくれたな…
あの時は、ありがとう。