「沈黙」に耐えられないという人間が居る。
想像の域を出ないが、恐らく音楽も音声もない無音の状況が辛いんだろうね…
アメリカの音楽家ジョン・ケージ。
彼は、沈黙もまた音楽だと主張し、実験的且つ野心的な音楽を創り出した。
その象徴となるのが、沈黙を音楽として紹介した『4分33秒』
楽譜では4分33秒という演奏時間が決められているだけで、オーケストラは一切演奏しない。その時間に偶然生じた音…雑音が鳴り響くのみだ。
彼は〝沈黙〟とは無音ではなく、〝偶然生じた音が存在している状態〟常に何かが鳴り響いており、それは沈黙であると同時に音響であると定義した。
音楽幻聴…
私にとって何時も世界は、騒がしい。
私は自身の五感を研ぎ澄まし、
貴方だけに全神経を集中させたい…
貴方だけに注目していたい……
荒ぶる息遣い…
鎖と皮膚の摩擦音…
高鳴る鼓動…
沈黙という名の音楽の中に浮かんできた
…貴方の欠片を優しく拾い上げる繊細な作業。
照明が焚き付けられ、
液晶画面が光った儘で集中出来る筈が無い。
私は、その音響は好まない。
許可も無く、耳障りな音響を奏でるな…
面倒なので一々指摘してこなかったが、
散見される為、明記しておく。
最低限、私が入室する迄に…
その喧しいBGMと液晶を消しておきなさい。
それくらい、出来るでしょ?
……
そして、貴方は踊り狂って…魅せるのよ。
私の奏でる優雅で美しい音響の中で…ね。
追伸
私に恥ずかしい格好で拘束され、
声を必死に我慢して奏でてしまう君…
「もっと麗らかな声で奏でなさい。」
セッション終了後…
君が〝麗らか〟という言葉の意味を理解出来ていなかったという事実が発覚する。
道理で改善・向上しないわけだ…
「…下手くそ過ぎるッ!」
呆れた挙句、口枷を嵌めて叱責。
麗らかな声:晴れ晴れと明るく楽しそうな声
……すまなかった。
言葉責めって、難しい。