「どうして…

いつも〝正解〟をもっているのですか?」


種明かしをしようか…


哲学の父と称される

古代ギリシアの哲学者ソクラテス。


彼は当たり前を疑うことで、

これまでにない学問のスタイルを確立した。


その方法こそ〝問答法〟

文字通り相手に対して質問を投げ掛けることで、相手の心から〝答え(正解)〟を導き出す手助けをする方法だよ。

表面的には、相手の言うことに繰り返し反論しているように見えることから〝反駁的対話〟とも呼ばれている。


…もう少し、具体的に話そうか。


私は貴方がある意見を出したら、

それを思い込みであるとして覆そうとする。


そのために貴方の意見の前提…

つまり根拠そのものをひっくり返すような別の事実を突き付けて、それを認めさせる。


そうやって対話を繰り返して、

貴方を自ら真理へと到達するよう導いていく。


いやらしいやり方かな…


然しあくまで対話なので、

私の主張もまたこのプロセスに晒される。

したがって、意見の一方的な押し付けではなく、相互に開かれた対話になった筈だよ。


「百々果様はずっと欲しかったものをくれた…」

…涙を流し、貴方はそう言ってくれたわ。


いいえ…私が与えたのではない。

〝答え(正解)〟は、貴方の中に在ったのよ。


追伸


従者H


貴方は、大きな秘密を与えてくれた。

秘密は与えると、返ってくる。


〝Nightの条件〟

私の大きな国家機密。

私と貴方だけの秘密よ…


貴方は、よく頑張ってきた。


もう、頑張らなくていいんだよ。