親愛なる我が国のKnight候補Nへ
貴方は、秘密の花園の門を叩いた。
そして、私に助けを求めた。
約束通り、ヒントを与えようね…
さて、貴方を含め私たち人間は、
一生懸命に勉強しようとするよね。
特に我が国民は勉強熱心な者が多い。
それは、知を身につければつけるほど、
自分が磨かれると考えているから…
…そうよね?
…でも、本当にそうかな?
古代ローマ支配下のエジプトで活躍した哲学者プロティノスにいわせると、必ずしもそうではないんだって…
彼はこう言ってる。
「彫刻家が彫刻を完成させるように、
たえず、自分の完成に努めなさい。」
つまり、自分を彫刻に見立てて、
常に完成を目指していきなさいということよ。
私たちは何か新しい知を学ぶたび、
その知を身につけていると思い込んでいる。
然し自分を磨くというのは、
自分の不要な知識を捨てることに他ならない。
彫刻のイメージと同じで、
むしろ余分なものを削ぎ落とすことで、
より美しく、より強靭な姿に近づいていく。
彼はその究極の状態を〝一者〟と呼んだ。
これこそが〝理想の自分〟よ。
新しい知をノミのように用い、
必要と不要をより明確に分けていくイメージかな…
貴方は、抱え過ぎなのよ。
勇気を持って、手放してみなさい。
言ったでしょ?
「大丈夫、何も心配ない、上手くいくよ」
貴方も〝一者〟になれ。
追伸
何かを新しいことを学ぶと、
古い知が不要になる。
つまり、余分なものが削られていく。
私に哲学的思考の癖があるのは、
まさにこの典型だからかな…
哲学は物事の本質を探究することであり、
ということは、本質以外のものは余分。
むしろその余分な知を削ぎ落とさないことには、本質は見えてこない…
まぁ…そんな感じよ。